2008年04月03日

#137_Tamiko Jones

tamikojones.jpg
#137
"Tamiko Jones in Muscle Shoals"
( '71 Metromedia原盤/日本)
<ー:★>

 はて、タミコ・ジョーンズとは何者? ブラックエサ箱からチョイスの盤、ジャケに堂々とマッスルと書かれていては買わないわけにゃいかんでしょ。ヨケタも仕方ない、期待したが…。

 聖書には Naomi があって英名としてこれは男・女、どちらでもけっこうある。Tamiko も同様かと思ったら関係なし、まんま日本名…母親が日本人という日系黒人だそう、ウェスト・ヴァージニア生まれ。ライナーによる。買った盤は日本コロムビアから/日本盤で青木という人(ジャズ畑の評論家氏でしょ)のライナーノーツ。アーメット・アーティガンに認められて、アトランティックからハービー・マンとのデュオ盤を出したり、クリード・テイラーのプロデュースで A&M からもレコを出してるらしい。ジャズ系シンガーということね。
 で、聴いてみたら…最低で・し・た(泣)。イージーリスニングな緩いジャズ系ボーカル盤以外の何物でもない。昼下がりの喫茶店でかけてはどうでしょうか。

 米 Metromedia 原盤。メトロメディアといえば、こりゃもうボビー・シャーマン以外にな〜んにもないでしょ。ボビーのためだけにあったようなレーベル。ソフトロック・フリークにかろうじて引っかかるかどうか、そんな緩いレーベル。(オリジナル)ニルヴァーナも出てます。

 なんでこのレコがマッスル?…知らんわいや、とにかく録音はマッスルショールズだそう。頓珍漢な青木氏のライナーによりますと「録音場所はアラバマ州シェフィールドのマスクル・ショールズ・サウンド・スタジオ。伴奏は、バリー・ベケット/ジミー・ジョンソン/ロジャー・ホーキンス/E. ヒントン/D. フッド/M. グリーン。ほかにJ. グリーン/M. ホリデイ/G. ホリデイ/S. ピルキントン/D. ザッチャーの4名からなるサザーン・コムフォートのコーラス…」(日本盤にオリジナルクレジットはない)。
 青木氏は米盤ライナーを写しただけ、誰やら何やらまったくわかってなかったでしょうから、“マスクル”となっているのも仕方ないか。この当時はまだ「マッスルショールズ」を知る人は皆無に近かった?…どうだっけ。このレコは71年発売で定価¥1900。裏ジャケは収録曲が日本語で書かれただけでトップ曲からアルバムタイトルも「サムシング/タミコ・ジョーンズ」となってる。これが邦題。

side A
Something
Blossom
Since I don't have you
A brand new me
Everybody's talkin'
Turn around, look at me
side B
Please don't tell me
Let your conscience be your guide
What'cha gonna do
Just a little loving (early in the morning)
Our day will come

 のっけがB4カヴァー。マッスルでB4カヴァーといえばこの時期だし、ウィルソン・ピケット "Hey Jude" を思い出すところ。が、あのテイクのような“熱”まったくなし (T_T) 。お次が当時ハヤリだったJT曲、その後もスカイライナーズから「うわさの男」からロマンティックスとカヴァー続き。

 ここで目をひくのはA−4とB−4。"A brand new me" はギャンブル=ハフ曲、ダスティ・スプリングフィールドの69年秋のヒットでそれをタイトルにしたシグマ録音LPも出した。"Just a little loving" はマン=ワイル曲、やはりダスティが68年にヒットさせたシングルでそれを頭に収録したLP『Dusty Springfield in Memphis』を出している。これはメンフィス/アメリカンスタジオでの録音。
 マッスル四人衆はその両盤を意識して(タイトルもこちらは「イン・マッスル」だし)、ダスティが採り上げたナンバーをやらせた(自分らで演りたかった)と思うヨ。
 B−3はドニー・フリッツ/ジェリー・リード共作曲。B−2も George Soule のペンなので、ここら辺はマッスル楽曲というところ(前述どおりに地元曲)。

 さて前記ライナーに戻ると、この盤はフェイム録音ではなく、正真正銘マッスル・スタジオ録音。70年の録音だろう。マーリン・グリーン、ドニー・フリッツの参加を見てもボズのファースト/シェール盤と同時期、つまりはマッスル・サウンド設立後すぐ、最初の10枚のうちの一枚と思える盤。まだピート・カーはフロリダ在、アラバマ入りはしておりません。
 ピートが不参加とはいえ、四人衆にドニー/マーリン/ヒントンら、オールスターメンツ盤だが…これが呆れるほどユルいセッション。プロデュースはタミコ、ベケット&ジョンソンらしいが、多美子さんのお望みですかねぇ…かる〜く、ゆる〜く仕上げて、極上の喫茶店BGMになりました、はい。
 そんななかでもAー1でのホーキンスの太鼓と、A−6でのヒントンのギターだけはそこそこ聴き応えあり。
posted by Denny_O at 09:32| Comment(2) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

#136/McClinton

delbert.jpg
#136
"Delbert McClinton/The Jealous Kind"
( '80 Capitol/Us)
<ー:★★>


 マッスルリスト#117「Plain' from the heart」の前年盤。同様にキャピトルからであり同様のプロダクション。フランキー・ミラー盤(#070)同様にレーベル面にはMSS=Muscle Shoals Sound Production のロゴが入る完全マッスル制作。

 四人衆にランディ・マコーミック、マッスルホーンズ四人衆がバック。ギターはウェイン・パーキンス/ビリー・サンダース。レニー・ルブラン、ロバート・バーン、エディ・ストラジックがコーラス。
 「Plain' from the heart」はもう処分してしまったので比較できないが、ここでのヴォーカルはそれほど悪くないね。デラ・ボニのボニー・ブラムレットがコーラスで頑張る曲多数。
 ただやはりそれほど面白くないなあ。わたしゃこの人とは合わないか。元気のいいアメリカンロック以外の印象が湧かない。まるでボブ・シーガーのローカル版。メジャーペンタの弾きまくりギターがたびたび出てくるのも悪印象、ビリー某だろう。

 ボビー・チャールズ2曲、ヴァン・モリソン/アル・グリーン/スワンプ・ドッグ/テンプテーションズのカヴァー。曲が書けない人かな。
 興味深いカヴァーあり、 "Baby Ruth" 。この曲は John Wyker 作。ピートがプロデュースした72年盤 SAILCAT#039) はコート・ピケットとジョン・ワイカーのデュオ。アルバム未収録の彼らのデビューシングルがこの曲であり、JTの兄貴アレックス・テイラーも71年の「Alex Taylor with friends and neighbors」でカヴァーしていた。これとスワンプ・ドッグ曲がマッスルナンバーですかね。
 マッスル録音盤ではかなりの頻度で地元曲を採り上げる。これって、利益の地元還元?…仲間内を印税救済のために四人衆はプロデュース・オファーのたびに契約項目に入れていたんじゃなかろうか。
posted by Denny_O at 17:48| Comment(2) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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