2011年06月25日

マッスル/ドンデ物


#145
【Johnnie Taylor/Rated Extraordinaire】
produced by Don Davis
( '77 Columbia)
< C : ★★>

ジョニー・テイラー、マッスル物として取り上げるのはこれで5枚目か6枚目か。
マッスルひいき筋は確か。本人よりもプロデューサーである Don Davis の好みなのだが。
マッスルびいきのプロデューサーといえばまずジェリー・ウェクスラーしか名前が出ないだろう。特にロックフィールドから見れば…。

が、マッスルを掘って分かったのがこのドン・デイヴィス、それと Brad Shapiro の名前。この二人がウェクスに負けじとマッスルでレコード制作/録音を行っていたということ。大半はブラックアーティスト盤。


ジョニーの、過去取り上げたアルバムはじつは全て処分した…手元には1枚も残していない。
歌は上手いし声もいい。が、この人のベストはやはりStaxの初期時代、"Who's making love" あたりが抜群なんだが…。[ディスコレイディ]のミリオンヒットはこの盤の前年76年だが、CBSでは時代にスリ寄りすぎ感がありあり、どうにも気分が乗らない。
この盤もそんな一枚であるな、可もなし不可もなしの楽曲が列ぶ。

クレジットが、プロデューサー名以外に一切ない。が、ドン・デイヴィス仕切りならば他盤同様にシカゴ/マッスルの二カ所録音であるはず。


johnnieTaylor_extra.jpg

黒バックのジャケは ring wear が目立つのが常。しかしこれは安レコだったがコンディション良し。
ジャケットは素晴らしい。気品というか品格というか、仕上がりのグレードが高い。これはCBS盤、アルバムデザインの第一人者といっても過言ではない John Berg による。
広めのスタジオでの撮影、切り抜きでないフォトだからそうとう照明に気を遣わなければこうはならない。Stax盤あたりとは格が違うなあ。



posted by Denny_O at 06:22| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月23日

Kosh / Planet


最近のネタがらみで、コッシュ・デザインがあったので入れておこう。

まずカーラ・ボノフ
69年に結成したBryndle は、カーラ/ウェンディ・ウォルドマン/ケニー・エドワーズ/アンドリュー・ゴールドの四人組。
グループとしては結果を残せなかった(後に再結成)が、ロスの仲良し組として互いの関係は続いてゆく。ケニーが組んだストーン・ポニーズからリンダ・ロンシュタットという才能が開花したのでリンダの成功に皆がからんだ70年代。

カーラもリンダへの楽曲提供から自身のデビューへと。
この2枚目がコッシュによるジャケット。まさにコッシュ節と呼ぶにふさわしい仕上がりは、リンダ盤【風にさらわれた恋】【夢はひとつだけ】あたりと並列するコッシュ・ワークなので当然リンダ経由での仕事だろう。


KarlBonoff.jpg

Restless Nights / ささやく夜】('79)

列車のコンパートメントだろうか。ひとり傷心のまま夜行列車で旅立つところ。蒸汽をあげ、いままさに出発する…5〜60年代の映画によくあったような設定/ストーリーテリング? これも、Stephen ビッシュ盤と同様な、映画男コッシュの面目躍如。



それと、「つまらなくなったポインターシスターズ」と書いたポインターズ盤。
アラン・トゥーサン曲 "yes we can can" でシーンへ登場してきた四人姉妹は、マリア・マルダーが道を開いたノスタルジア路線とブラック・グルーヴをいい塩梅に混ぜて「これは本物!」と皆を唸らせた。
もともとシスコにほど近いオークランドの出身、エルヴィン・ビショップのバック・コーラスをやっていた時に、Moby Grape のプロデューサー/デヴィッド・ルービンソンに認められてデビュー、フリスコ色が濃くいい感じに freewheelin' なグループだったが、ビッグヒットが欲しかったのかロスへと移って豪腕リチャード・ペリーのもとへ。
ヒット・メイカーとして業界の顔だったペリーが興した Planet レーベルの第一弾として、確かにヒットは連発するが狙いが見え見えのディスコヒットばかり、つまらなくなった…。

そのプラネットのアートディレクションを仕切ったのが KOSH だった。レーベルは短命でさほどリリースはないが大半はコッシュ。



pointers_energy.jpg
Energy '78

舞台裏だろう、リンダの【夢はひとつだけ】同様のロケーションであり書体に飾り罫線/囲み枠といい、これはコッシュらしいジャケだが…。

pointers_priority.jpg
Priority '79

pointers_excited.jpg
So Excited '82

写真はごぞんじノーマン・シーフ。はて、シーフとコッシュは…初顔合わせ? ここらあたりからはかつてのコッシュ節≠ヘすっかり影をひそめた、凡庸なジャケに。


pointers_break.jpg
Break out '83




sharpCuts_kosh.jpg

Sharp Cuts '80

サブタイトルに "new music from American bands" とあるように時代を見据えた…というより流行りに乗り遅れまいとしたリチャード・ペリーのあがきだろうか、パンク/ニューウェイヴ/パワーポップの無名バンドのサンプラー盤をプラネットが出した。収録うちでは、ワタシもひいきの dB's が唯一知られるバンドかも。
当時このジャケットを手にしてコッシュの名前があってずいぶんと驚いたもの。
バンド名の切り貼り、タイトルはコピー機にかけて荒くするなどコッシュらしからぬパンキーな仕上げで…。


リンダの80年盤【mad love】がやはりパンク/パワーポップを意識したレコだったがそのジャケ、コッシュによるが、やはりそれ風の出来。
音楽業界全体の動向に、コッシュもパンクの波とともに変化せざるを得なかったという感じがする。

posted by Denny_O at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウィッシュボーン制作


HOT_muscle.jpg

#144
【HOT/strong together】
( '79 Big Tree)
produced by Terry Woodford & Clayton Ivey
< ー : ★>


誰に頼まれたわけでもない、自分で好きにやっている…それなのに何に押されるのか、こういう駄盤へも手が伸びてしまう自分が悲しい。

ピート・カーが参加しているわけでも、マッスルスタジオ録音でもない…それでも買ったのは「マッスル盤」だから。HOT なる三人組レコが目に入ってしまったわけで。

マッスル録音といって、Muscle Shoals Sound Studios でもなくFame Studio でもない盤…これはマッスルBチームの拠点ウィッシュボーン録音盤。

マッスル・アーカイヴを掘りまくって分かってきたことのひとつ、マッスルの地にある Wishbone Recording Studio は Wishbone Production Inc. を主宰するふたり、Terry Woodford & Clayton Ivey が経営するスタジオだった。
ウッドフォード/アイヴィ組の仕事も「マッスル盤」ということ。

ウィッシュボーン組は Ruben Howell /シュープリームスなどモータウン仕事があった。ほかにもあったが「これは」という盤はない。
マッスル四人衆はこのコンビの仕切り盤にはほぼノータッチだがピートはかけ持ち、こちら盤でも弾いたし本人のソロ/ルブラン&カーでもこのスタジオを使っていた、かな。

79年盤、ジャケでお三方のノーブラが分かります…いや、ブラジャーしててもらって構わないんスが…。
見るからにつまらなそう、しょ〜もない音が想像できるジャケ盤は、聞けばやっぱりそのとおりで…。
つまらなくなった時期のポインターシスターズをよりつまらなくしたような。
ちょいダンサブルなディスコ受けとミディアム/スローが並ぶ、凡庸な出来。メロに光るモンが皆無なので困ってしまった。

HOT、このレコが三枚目だそう。で、77年ファーストからのシングル "Angel In Your Arms" がなんと全米6位のヒットだったそうな。前2作もウィッシュボーン組のプロデュース。
ウィッシュボーン盤として最大ヒットシングルは、作もウッドフォード/アイヴィが共作に名を連ねている。
レーベルがAtlantic傘下のBig Tree。ピート・カー/ルブラン&カーの盤も同様だったから、ジェリー・ウェクスラーがらみでのマッスル関連、その一派にHOTも含まれる。

http://whink.seesaa.net/article/155141739.html

アーカイヴとしてはこういう駄盤も入れておくべきだろうか。シュープス盤は入れなかったが…これは記録として入れておくことに。



posted by Denny_O at 05:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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