2011年07月05日

muscle/Bob Seger


Bob Seger - Back In '72.jpg

#146
【Bob Seger/Back in '72】
produced by Punch & Bob Seger
( '73 Palladium/Reprise)
< A : ★★★>

なんともレアな盤、知り合いから「音だけ」いただいた。
長年 want list に入れていた「マッスル=ピート・カー」盤の一枚。

ボブ・シーガー。このデトロイト・ロッカーは、Silver Bullet Band を率いてチャート常連になったロック・サクセスのひとりだが、修業時代があってボブ・シーガー・システム名義やらソロやらで数枚のレコを発表、その後にブレイクしている。けっこう下積みが長かった。

タイトルが【Back in '72】というこれもその一枚。72年録音で73年初めのリリース。これがどうにも見つからなかった。レアな理由のひとつはレーベルがシーガー自身の Palladium だったから(配給は Reprise を通している)。玉数が滅法少ない。

シーガーは、白人ロッカーで…いや白黒含めて、最も多くのマッスル録音盤を残しているアーティスト(意外に思われるはず)。どの盤も必ず地元デトロイトとマッスル録音、二本立てでアルバム制作していた。この盤はそこにオクラホマも含まれ、三カ所録音盤。

どのアーティストでも修業時代のリリースで気に入らないレコが一枚や二枚はあるだろう、シーガーにとってはこれ。なのでCD許可は一切出していない…はずなのに08年にCD発売、それもボートラ付きで! 南米はアルゼンチン盤。そんなバカな…。

彼の地の Lost Diamonds というレーベルだが、デジパックでぱっと見は正規盤ぽい。丁寧にノイズリダクションしているが、これは盤おこしのブート、間違いない。(そんな駄盤がすでにプレミア価格になっている)
調べれば、あのペイジ先生が激怒して回収させた "Live Yardbirds featuring Jimmy Page" も「CD化」しているレーベルというのだから開いた口がふさがらないワ。


シーガーが「なかったことにしたい盤」のわりには、悪くない内容。
全9曲にボートラ4曲のCD。ボートラうち2曲は歌っているのがシーガーじゃない、まったく関係ない音源(シーガーがちらっと参加しただけのデトロイトのgarage bandあたりかも)を収録。
本編の9曲はなかなか聴かせる。カバーが3曲、オールマンズ/フリー/ヴァン・モリソン

セッションメンツも興味深い。
オクラホマ録音はレオン・ラッセルの持ちスタジオ Paradise Studio
JJケールが "midnight rider" でギターを弾く。クラプトンバンドとなった Dick Sims, Marcy Levy, Jamie Oldaker らオーキー・ギャングも参加。
デトロイトでは、Scherrie Payne がコーラス参加。ペインはフリーダ・ペインの妹、ダイアナの代わりにスプリームスのリードボーカルに入ったシンガー。



聴くかぎりマッスル録音は3曲。なかでこれがいい!タイトルトラック。
クレジットではマッスル四人衆/ピートのバック、このリードギターはピート・カー
72年ではマッスルへ移ってさほど経っていない頃だがすでにこのギターを、たたみかけの四連符フレーズを弾いている。この曲の次に、ジェリー・ゴフィン曲 "Set Job" (【it ain't exactly entertainment】収録) を聴いてもらいたい。



ちなみにこのシーガーの代表曲もマッスル録音、リードはピートが弾く。


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ここではっきりさせておきたいのが、ジミー・ジョンソンのこと。この先生、まずギターを弾かない人ということ。
フェイム時代は仕方なしに弾いていただろうが、マッスルスタジオとして独立してからはまず弾かない。クレジットはあってもマッスル盤の八割方はピートがひとりで重ねているのでは。
ではジミーは何をしているか。卓がいじりたい人だね、きっと。といってエンジニアのクレジットもほとんどなかった。remixing, mastering などポストプロダクションにも興味が無かったんだろう。あくまでセッションの現場で、ギター・ブースではなくてコンソール・ブースのほうにいて卓をいじりたがった人だったろう。

そこへいくとピート・カー、エレキ/アコギ/ドブロ/スライド…ギターは上手いし卓いじり(ポスプロ含め)もOKでプロデュースもこなした…ジミーよりよっぽど才人なのだ。
マッスルはフッド/ホーキンスの抜群のリズム隊がいたとはいえ、アレンジを仕切ったバリー・ベケットとピートのギター…この二人の head arrange が「マッスル・ショールズ」を輝かせていたとワタシは信じるわけヨ。
しかしピートはスタジオ・オーナー四人衆よりも歳も若いし(童顔だし)、オレも加えて五人衆にしてくれろなどとは口にしない、奥ゆかしい性格であったのだ…と思う。そのギターがたいていジミー・ジョンソンと勘違いされていてもなんら気にしなかっただろう。
(まあそれが歯がゆくてワタシはこんなに入れ込みサイトをやってるんだが…)

ちなみにほとんど弾かないジミーだが、弾くときはまずハイポジション/たぶん7フレット以降あたりはまったく指が行かないギタリスト。トワンギーなローポジション・ギタリストだったと想像している。
ポール・サイモン[僕のコダクローム]、これをヘッドフォンつけて聴いてほしい。ここでピートはアコギのみ(右チャン、左はポール)。薄〜く聞こえるエレキがジミー。低いでしょ。しかしこれがあるとないでは大違い。マッスル暮らしは伊達じゃなく、ツボは心得たギタリストともいえる。


posted by Denny_O at 07:03| Comment(2) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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