2012年01月18日

マッスル界隈スタジオ事情


ネットで知り合ったShikanoくんは ロスアンゼルス在が長い 
ごく最近仕事がてらでマッスルを訪れたそうな 写真をフェイスにアップしている
興味の向きはワタシのフェイス頁経由で覗かれるもよし

Muscle_shikano.jpg


それはファースト マッスルスタジオである
写真のなかで ボビー ウィトロックが使用したというvintageなHammond B-3がある
はて? ワタシの記憶ではボビーがこのファーストスタジオで 自身にしろセッションにしろ録音したことはない セカンドでなら某日本人のレコがあったが…
ボビーのB3というならば やはり置くべきはクライテリアだろう ドミノズ セッションで活躍したあの機種であろうからね

さてファースト セカンドは何かといえば
Shikanoくんが訪れたのは Muscle Shoals Sound Studios
一世を風靡したといっても過言ではないこの名スタジオは初代 二代目 ふたつあった
初代がかの 3614 Jackson Highway このアドレス看板を掲げたあのスタジオ
その後テネシーの大河近くへ移っている ずっと広くなって それがセカンド スタジオ

Fist Muscle.jpg
@Don Walker: First Muscle Studio

second Muscle.jpg
@Don Walker: Second Muscle Studio (現在はどうなっているだろう

ファーストは69-78 セカンドは79-85年でいったん活動を停止している
しかし上記 bobby参加の某日本人レコーディングは2002にセカンドスタジオで行われた そこでもマッスルサウンドスタジオの名前は使われていた

マッスル(スタジオ)はMuscle Shoals Rhythm Sectionこと四人衆 (barry beckett, roger hawkins, david hood, jimmy johnson) が まんま「オーナー」であった
が85年を最後に売却と聞いた ミシシッピ ジャクソンに本拠を置く MALACO Records へと その後マラコも実業家に売却とも それも老朽化によって取り壊しとどこかで見ていたんだが…
売却というのがファースト/セカンド込み込みであったのか

はっきりしてるのは ファーストスタジオも「健在」であること それも過去の遺物ではなく立派に現役という
Shikanoくんから聞いたが The Black Keys というバンドがかなり売れているらしく そのバンドが録音に使っている UT映像にはたしかにマッスルでの録音風景も出てくる
誰が現オーナーかは分からないが 健在というのは嬉しいニュース

ちなみに今付いている「3614 Jackson Highway」看板は付け替えだね 昔のと書体こそ合わせているが微妙に平体かかっている オリジナルのそれは移転の際にセカンドスタジオへ運ばれそこの壁に飾られていた

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グーグル ストリートビューでこの界隈をチェックしてみた
驚いた (ファースト)マッスルはまじに墓地の真ん前だった
それとアドレス 正確には North Jackson Hwyだった ジャクソンハイウェイはもっと南にある 正確な住所は
3614 N Jackson Hwy, Sheffield, Colbert, Alabama 35660
以下 Google からスクリーンショット

Snap001.jpg
(通りをはさんで墓石が見える)

Snap002.jpg

Snap003.jpg



マッスルショールズサウンドスチューディオ
69年に四人衆が ジェリー ウェクスラーから資金貸与をうけて「棺桶置き場」であった空き倉庫を買ってスタート…と聞く
その経緯は前に書いたが再度

ナッシュビルで音楽修業(?)をしていたリック ホールという男 地元へ戻って音楽出版を開始 その名はフェイム これは地元フローレンスからで Florence Alabama Music Enterprise の略
フローレンスという街はマッスルショールズとは川をはさんで対岸 最初はフローレンスで始めた事業なのかどうか その詳細までは分からないが ともかく61年からの FAME Studio はマッスルショールズのど真ん中に位置する

google earth にリンクしていたこの Don Walkerさんは南部のいまのスタジオ写真を多数アップしている たぶんエルヴィスファンだろう ここにマッスルもフェイムも 航空写真まで入っているので「いいね」 (Ardent Studioもあり!)
www.panoramio.com/photo/6322787

もとい
ホールのスタジオをひいきにしたウェクスラーは studio fee の問題か いやたぶんホールとは「合わな」かったんだろうと想像する この地でより自分でやりやすい録音場所を… 
そこで画策したと思う
「元手は貸したるさかい スタジオ やらへんか?」耳元でささやいた相手 たぶんバリー ベケット もしくはジミー ジョンソン フッド/ホーキンスとは思えない^^
四人衆もホールにはうんざりしていたのでは 渡りに船…だったかも


田舎道の 墓地をはさんでポツンとたたずむ まあ何にもなさそうな場所 小腹が空いてコーラ&バーガーを買いに走るのも骨 そんな辺ピなところに見える
それでもここに ミック/キース ロッド ポール サイモン シーガー ボズ ウィンウッド ら大物が車飛ばしてやってきたんだから… どんだけ熱≠ェあったのか 当時に見てみたかったヨ
ちなみにディランは 本人レコ録音はここではなくセカンドで ゴールドバーグ盤(#018)セッションでは来た…かもしれない


蛇足ひとつ:
Don Walkerさんは 川沿いセカンドスタジオ写真のキャプションに(ディランやコニー フランシスらが)と記載
コニー フランシス マッスルにはそぐわない名前と思われるはず
しかし確かにコニーのマッスル録音盤は存在する(#128)
ジョンソン&ホーキンスのproduce ピートも参加なんだが…
シーガーによってヒットしたマッスル楽曲のみ上げておこう





Don Walker氏のフォトのなかにWidget Sound Studioもある
斜面に立ち 段のついた天井(というか屋根が見えないが) まるでマッスル スタジオのよう
一瞬 もしやマッスル スタジオの別名だったか? と思った

widget.jpg
@Don Walker


widget01.jpg
#Google

widget02.jpg


違った マッスルの近くにある別スタジオ N Jackson Hwy を300mばかり行った場所のよう すぐ近く
マッスル スタジオは知っていてもこの小さなスタジオのほうは まず知る者はいまいな
かなりマッスル盤を買ってきたワタシでもここのクレジットは… 見返してみよう
なんと 1枚のみ!
[ Sailcat ] (#039)
ピート カー プロデュースの というより表記ではコート ピケット/ジョン ワイカーのデュオ名義だが実際はピートを加えた三人グループだったろう

[ Lenny Le Blanc ] (#021)
この盤は 録音がBroadway Sound StudioだがオーバーダブにWidgetを使っている

レニー ル ブランのファーストソロは
record: Broadway Sound Studio
overdub: Music Mill sound / Widget Studio
remix: Fame Studios, Inc.

Muscle Shoals Sound以外の4スタジオ そのすべても (Sheffield) Muscle Shoals にある


「マッスル」のスタジオといえば…
1にマッスル(サウンド)=@2にフェイム=@3にQuinvy Studio
歴史はフェイム→クィンヴィ→マッスルだろうか

クィンヴィは たぶんブラック系の録音は少なくないんだろうが ロックな身にはどうも「男が女を愛する時」 パーシー スレッジの城という印象しかない Quin Ivyがオーナーゆえのネーミングスタジオだが後に改名してブロードウェイ(これも通りの名)となる
74年の [ I'll be your everything ] (#007) ですでにブロードウェイとされている

小スタジオは…
Widget / Music Mill / East Avalon / Wishbone

最後のウィシュボーンは クレイトン アイヴィ(クィン アイヴィとは無関係だろう スペル違い)とテリー ウッドフォードが共同経営していたスタジオのようだ 彼らがプロデュースしたモータウン物(ルーベン ハウウェルやスプリームスなど)は当然ここでの録音 ピート カーもソロ2枚/ルブラン&カー盤はここで録音している


posted by Denny_O at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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