
#139
【Johnnie Taylor/She's killing me】
( '79 CBS/US)
< ー : ★★★>
【Johnnie Taylor/She's killing me】
( '79 CBS/US)
< ー : ★★★>
ジョニー・テイラーもマイ・マッスルアーカイブで採り上げるのは4枚目か、思えばこのシンガーもマッスル常連客。
マッスル(スタジオ)と頻繁に絡んだ相手というと、ジェリー・ウェクスラーは身内ということで別枠として、まず英アイランド勢が挙がる。次がふたりの(たぶん)黒人プロデューサー。この人のベースはどこだろうか? やはり南部か、 Brad Shapiro。それとデトロイトの Don Davis 。シャピロといえばミリー・ジャクソン付きの裏方仕事をメインに、ファクツ・オブ・ライフ/バンクス&ハンプトン/ウィルソン・ピケットなどのブラック盤のみならずベッキー・ホブズからアイランドがらみのアンディ・フレイザーまで、マッスル録音を指揮していたかなりの馴染み筋。
ドン・デイヴィスもデルズ/ドラマチックスなどブラック中心だが白人のラリー・サントスも手がけていた。この人は必ず一枚をデトロイト録音とマッスル録音に分けて収録するのを(なぜか)常としていた。
テイラー盤も過去【Taylored in silk】【Eargasm】はドン・デイヴィスのプロデュース、ゆえにデトロイト/マッスル録音。
ジョニー・テイラー。この人の声は好きでねえ、まあ詳しかないがSTAX時代のサザン・マナー楽曲には好きなナンバー多し。スタックスつぶれてCBS移籍、そして後には再び南部へ、マラコへと戻っていった。当然評価されているのはスタックス時代なんだろうな。
76年CBSでの、原題「オーガズム」/邦題「ディスコレディー」からは大ヒット[ディスコレディー]が生まれた。しかしこのディスコ・エラのテイラー…まったく評価されてないンじゃないすか? てか「無視」、とか。今回の盤もCBS期=いけいけディスコ時代≠艪ヲブラックフリークには論外盤になっているような気も。ワタシ的には「ディスコもの」にはけっこう好きな盤/シンガーがいるのでそれほど違和感はなく聴けたが、それでも「これがマッスルかよ?」とは強く感じましたワ。
この盤は珍しい、シャピロとデイヴィスの相乗り盤。複数プロデュース盤。
シャピロが4曲(マッスル録音)/デイヴィス2曲(デトロイト)、残り1曲のみ produce: Frank Johnson & Taylor 、マッスル録音。ちなみにジョニー・テイラーは歌入れはかならず地元ダラスでやっていた。
全7曲と少ないのは5〜7分の長尺テイクだから。当然ディスコ意識ですね、そのままDJにかけてもらいたいという意図でしょう。
ここで、Fジョンソン/テイラー・プロデュース曲だがマッスルはマッスルでもマッスルスタジオにあらず。セイルキャットのところで書いたように、マッスルの地にあった別スタジオのひとつで Wishbone Studio というのもあったわけで、ここです。
(蛇足:)ウィッシュボーンはウィジェット・スタジオよりもクレジットがあった。しかしマッスル四人衆はいっさいここではプレイしていないと思う。ここは Clayton Ivey & Terry Woodford の拠点であったはず。produced by C. Ivey & T. Woodford for Wishbone, Inc., Muscle Shoals, Alabama のクレジットを何度か見た(ダイアナ後の、70年代シュープリームス盤にも二人のプロデュース/マッスル録音盤がある)。つまりは(ワタシが名付けたところの)「マッスルBチーム」のホームグラウンドですね。ピート・カーはA・B両チームにからんだ。
全7曲すべてがアップなディスコチューンではない、2曲がミディアムでこれは悪くないが…。驚くのはバリバリにディスコなタイトルチューン[she's killing me]がマイキー・バキンズ/ランディ・マコーミックのふたり、Bチームのセッションプレイヤーのペンによるマッスル曲であり、別のアップ曲もエディ・ストラジクが書いていること。当たり前だがお仕事だよねぇ、マッスル勢といえどもサザンマナーなど取っ払って、時代に寄り添ってナンボであったのだなあと痛感。ストラジクはシンガーであり、ソングライターとしてはドクター・フックによる全米トップ10ヒット[めぐり逢う夜/sharing the night together](マッスル録音。オリジナルはレニー・ルブランのファーストソロ盤)がある。
メンバーのクレジットはないが、マッスルスタジオでのシャピロ仕切り曲もバックは4人衆ではなくてBチーム編成でしょう。dr: Roger Clark, bass: Lenny LeBlanc, kbd: Clayton Ivey、このLPにピートはまったく無し。たぶんギターは Kenny Bell 。
ジャケ、巨匠 John Berg なんですがこれでジョニー・テイラー盤? ですわなあ。手をつないでいる本人は裏ジャケに廻ってしまった。当初はダブルジャケにする予定であったのかも。
Steve Alaimo と共同でプロデュースした ↓ のアルバムには,Jesse Beaver Carr が参加していました。
◎ Clarence Reid "Dancin' With Nobody But You Babe" [ATCO/east west japan AMCY-6049] -1969
↑ には,Jesse Carr & John Sandlin というクレジットのある "Don't Look Too Hard" という曲も収録されています。
Sandra Wright のアルバムで Backing Vocal を担当していた Mary Gresham の CD で,AMG にはクレジットされていませんが,付属のブックレットには Pete Carr の名前がありました。
● Mary Gresham "Voice From The Shadow: The Story Of A Muscle Shoals Soul Sister" [Soulscape SSCD 7008]
http://blog.zaq.ne.jp/shinozrsb/article/619/
↑ の 11.〜 18. は,Clayton Ivey & Terry Woodford のプロデュースで LP 用に録音したものの,契約したレコード会社(Sussex) が倒産したためにお蔵入りになっていた楽曲でした。ライナーによると,
I[Mary Gresham] cut the LP with them in 1973 and early 1974. This was before Terry and Clayton started their own studio at Wishbone in 1974. I remember we cut all of the songs at Ronnie Ballew's place, Widget Studios at 3804 Jackson Highway - right next door to the first Muscle Shoals Sound studio at 3614 Jackson Highway. All except one track, "I'm Not Made For Love", which we cut just 'round the corner at David Johnson's studio, Broadway Sound.
Widget/Broadway Sound の Musicians としてクレジットされているのは,
Roger Clark, Lenny LeBlanc, Clayton Ivey, Pete Carr, Tippy Armstrong and Don Shrigley
毎度どうも。そうでしたか!シャピロはブラックがらみから聴き出したのでつい黒人と思い込んでしまっていましたが…。ドン・デイヴィスもあやしいモンですね (^_^) 。
クラレンス・リード盤、出ないンですよねぇ…出るのはクラレンス・カーターばかり。アナログがほしいとずっと見てるんですけど、一度ユニオンでサンパチだったかなあ。出ても高すぎて手が出ないかな、セコCDを捜しますか。
ウィジェットがマッスルスタジオのお隣さんとは知りませんでした。多岐にわたりご教授、ありがとうございました。