
#129
"Hank Williams, Jr. & Friends"
[ '76 MGM/Japan]
produced by Dick Glasser
<A:★ ★>
まずは、マーシャルタッカーバンドである。このバンドを何とする。レーベルは Capricorn であった。サザンロックに括られたわけだが、そう呼ぶには…太り気味のビール腹をウエスタンシャツで隠し、テンガロンハットを被り、ウェスタンブーツにでかいバックル…そのなりは「ど」がつくほどカントリー。ジョージアでもアラバマでもなくキャロライナのバンドであった。フルートをフィーチャーするのもちょっと異色。
カントリー・ロック…だったかなぁ。たしかにオールマンズ/ウェットウィリー/スキナードよりもカントリー色は濃かった。しかし、このバンドを一人で背負った、曲を書き/歌い/親指だけでリードを弾くという特異なプレイスタイルでのギター…トイ・コールドウェルの力強さは間違いなくロック魂に溢れていた。
ワタシはオールマンズよりもずっと好きだったね、サザンロックのど真ん中時期では。とくにファースト/セカンドの2枚は素晴らしかった(が、以後は徐々にカントリー色が濃くなる、力技が失せていく)。
なぜこの、かのハンク・ウィリアムスの倅、ジュニアのレコ評にマーシャルタッカーかというとこの盤にはコールドウェルがゲスト参加し、彼の代表曲たる "Can't you see" と "Losin' you" をカヴァーしているからです。
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もとい、このレコは76年MGMからで録音がマッスル/ナッシュヴィル/メイコン。さて何枚目に当るやら…さっぱりと詳細の分からない、というより過去作をまったく聴いたことがないこのジュニアなのです。
ジュニア盤にもピートの参加があると調べは済んでいて、捜したが出なかったねぇ。長い事見つからなかった。やっとのことでゲット出来た盤なのです。しかし、内容に期待はなかったがまあその通りだったな(笑)。
当たり前だがカントリー。好きな人は好きでしょうがワタシは…ここが難しいなぁ、カントリー…カントリーロックなら好きか? ペダルスティール、好きだしね。ポコもOKだしなあ。ナッシュヴィルが苦手かもしれない、そうでもないか。
と、四の五の言ってますがとにかくこのジュニア盤的カントリーはノーサンキューな部類ですわ。
ということで大半のチューンは個人的には「いらない」曲ですが、前述、カヴァーの2曲だけはいい。とはいってもオリジナルを凌ぐようなモンではなく、やはりカントリーっぽいアレンジがなされているのだけれど。
いいのはピートのギターなのです、全編でリードはピートひとりが弾いている。過去盤でいえば、ロニー・ブレイクリー盤 (# 110) 、これもカントリーピッキンで弾きまくっていたが、同様にシャープなメジャーコード展開を見せてくれている。
特にマーシャルタッカー・カヴァー2曲でのギターは出色の出来。オリジナルはもちろんトイ・コールドウェル入魂のプレイだったがそれと競うかのような素晴らしいプレイが聴ける。
タイトルの「フレンズ」はバックメンツを指しているようだが、わざわざそう付けたのはカントリー色を払拭したい意向があったからだろう。カプリコーン/マッスル・ミュージシャンを表記している。(それでもやっぱりカントリーじゃないの…)
表記は Charlie Daniels, Chuck Leavell, Ken Bell, Pete Carr, Roger Clark, Lenny Le Blanc... など。分かりますね、バックメンツはマッスルの「Bチーム」であるということ。
蛇足ながら、ジャケがダメだな、これ。ギターのカヴァーケースかベルトかバックルなのか…大写しすぎてどの部分か判断できないけれど、ウェスタン革細工なのは確か。ならばタイトル等の文字もすべて革細工で切り込んで入れなければ意味がないんだよね。これは文字をただ上に載せている/印刷だから非常にクオリティが低い。