2007年02月02日

Pete/Muscle #132

luther.jpg

#132 Luther Ingram
( '86 Profile/US) <…:★★>


 80年代の、特にブラックのレコ…買いたくないンだよねぇ、極力。「打ち込み」の時代だからである。70年代の、人力パワー=手練れスタジオミュージシャンによる強力なグルーヴィーサウンドがバックであったレコにどっぷり浸かった世代だからだろうか、チープな打ち込みドラム/ベースに(ストリングスもシンセだし)、キーボードとギターのみが生音という80年代物はまことに辛い。
 制作費を大幅カットだったのか、とくに売れ線以外のブラックレコが…。

 しかしワタシはディーヴォもジョルジオ・モロダーもクラフトワークも大好き、打ち込み完全否定派ではないはずだから自己矛盾? いや、ハナから打ち込んでる人たちはいいのですヨ。かつてはソウルフルな声を抜群の人力リズム隊をバックにしていた Soul Men が、いたってチープな打ち込みトラックを背にして歌っているのが悲しいのだな。


 でもって、このルーサー盤がどんぴしゃにその「悲しきレコ」の一枚なのです。
 かつてワタシはこのルーサー・イングラムを“マッスルショールズごひきい筋ベスト5”の一角とした。David Hood/Roger Hawkins のリズム隊と Pete Carr のしなやかなギターを従えて抜群の歌を聴かせてくれたルーサー…、この86年盤のバックはプログラミング主体の打ち込みトラック、ルーサーがとことん打ち込まれてます、まるでバッティングピッチャーのように…。

 打ち込みの主は Michael Day なるプロデューサー。全10曲、デイが7曲をプロデュース/キーボード&プログラミング。イリノイ州は Urbana という場所のスタジオでの録り。
 残り3曲は一応 Muscle Shoals Sound Studios 録音、Jimmy Johnson/ Hawkins/ Ingram でのプロデュースとなっている。がしかし、ホーキンスのクレジットは drum programing 。なんてこったい! 栄光のマッスルスタジオにして86年にはこの有様…。

 ルーサーの声は悪くない…だけに、余計にリズムトラックが悲しく辛い。絶対に手では弾けないようなフレーズ連発のシンセベースと、あまりにジャストなドラム音。その上にスネアサウンドときたらノイズゲートでぶち切り、まるでスティーヴ・リリーホワイトしているのだ。いったいルーサー・イングラムとピーター・ガブリエルが一緒になる日が来ようとは思わなかったヨ、まったく。

 ディランの 'gotta serve somebody' をカヴァーしています。この曲、結構好きなディランナンバーなのよね。ルーサーの声はハマる。なのにバックが…。

posted by Denny_O at 08:39| Comment(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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