
レーナード・スキナード、 "Free Bird" がもともとマッスルと書いたのは、この曲のオリジナル・テイクはマッスル・ショールズで録られていたから。71年7月のこと。インレイジャケ写を入れた『The Complete Muscle Shoals Album』は98年に出たCDですがここに収録。レーナードといえばもうこの人と同義と思えたヴォーカリスト/ソングライターの Ronnie Van Zant は77年の plane crash で亡くなったわけですが、死後に当然のようにいろいろな過去音源盤が出る。マッスルでのデモ音源も78年盤LPで9曲が既出、しかしCDの時代となったことで完全盤を出したわけね。全17曲。
スキナードはリズム隊が固定しないバンドだった。入れ替わり/出戻りもあったり…。このマッスルCDではオリジナルドラマー Ricky Medlocke 曲(歌う)があったりしてスキナードらしさ、統一感はない(とっても悪い曲でないし、もちろん“デモ”録りだから)。
フロリダのローカルバンドを最初に見つけたのが、Capricorn の大将=フィル・ウォルデンの弟のアラン・ウォルデン。アランが旧知のマッスルガイ_バリー・ベケットへテープを渡し、ジミー・ジョンソンがプロデュース役となってマッスルショールズにてデモ録音、若きロニー(当時22歳)らの初録音ですな。CDのハナが、目玉が "free bird" のオリジナルテイク、7' 26" version 。"simple man" "i ain't the one" など後に発表された曲のオリジナルテイクもあり。
「フリーバード」はすでにアレン・コリンズ/ゲイリー・ロッシントンのツイン・リードが出来ている。ファーストアルバム『発音はレーナード・スキナード…』収録テイクと大差がない。それは73年盤だからね、間隔もそれほど開いてないし、ファーストアルバムとはいってみれば“アマチュアの集大成”盤、アマ時代のメイン曲を集めたモノだよね。
マッスルでのデモテープを持ってアランは奔走するがさしたる手応えなし。ロニー・ヴァン・ザントはその理由をジミー・ジョンソンのミックスが甘いからと感じ、しばし不仲に。結局バンドはアル・クーパーに認められMCAからデビューしたわけだが、その時にはジョンソンとの関係も修復された。ロニーはジミーに電話で「あんたらのこと、アラバマのことを曲にしたよ…」、それがご存知 …
"Sweet home Alabama"
I'm coming home to you / Here I come Alabama Now Muscle Shoals has got the Swampers / And they've been known to pick a song or two / Lord they get me off so much / They pick me up when I'm feeling blue / Now how about you?
ところでこのマッスル録音CDは71〜2年のセッションテイクだが、このマスターをMCAが買い取った際(75年)にいくつかの曲は手直しを入れている。ベースの差し替え/ギター、キーボードを追加等。「フリーバード」もベースは Ed King が弾いてトラックごと差し替えられた。オーバーダブもマッスルで行われたので、数曲では Wayne Perkins のギターが足されている。