
#146
【Bob Seger/Back in '72】
produced by Punch & Bob Seger
( '73 Palladium/Reprise)
< A : ★★★>
長年 want list に入れていた「マッスル=ピート・カー」盤の一枚。
調べれば、あのペイジ先生が激怒して回収させた "Live Yardbirds featuring Jimmy Page" も「CD化」しているレーベルというのだから開いた口がふさがらないワ。
全9曲にボートラ4曲のCD。ボートラうち2曲は歌っているのがシーガーじゃない、まったく関係ない音源(シーガーがちらっと参加しただけのデトロイトのgarage bandあたりかも)を収録。
本編の9曲はなかなか聴かせる。カバーが3曲、オールマンズ/フリー/ヴァン・モリソン。
オクラホマ録音はレオン・ラッセルの持ちスタジオ Paradise Studio 。
JJケールが "midnight rider" でギターを弾く。クラプトンバンドとなった Dick Sims, Marcy Levy, Jamie Oldaker らオーキー・ギャングも参加。
デトロイトでは、Scherrie Payne がコーラス参加。ペインはフリーダ・ペインの妹、ダイアナの代わりにスプリームスのリードボーカルに入ったシンガー。
聴くかぎりマッスル録音は3曲。なかでこれがいい!タイトルトラック。
クレジットではマッスル四人衆/ピートのバック、このリードギターはピート・カー。
72年ではマッスルへ移ってさほど経っていない頃だがすでにこのギターを、たたみかけの四連符フレーズを弾いている。この曲の次に、ジェリー・ゴフィン曲 "Set Job" (【it ain't exactly entertainment】収録) を聴いてもらいたい。
フェイム時代は仕方なしに弾いていただろうが、マッスルスタジオとして独立してからはまず弾かない。クレジットはあってもマッスル盤の八割方はピートがひとりで重ねているのでは。
ではジミーは何をしているか。卓がいじりたい人だね、きっと。といってエンジニアのクレジットもほとんどなかった。remixing, mastering などポストプロダクションにも興味が無かったんだろう。あくまでセッションの現場で、ギター・ブースではなくてコンソール・ブースのほうにいて卓をいじりたがった人だったろう。
マッスルはフッド/ホーキンスの抜群のリズム隊がいたとはいえ、アレンジを仕切ったバリー・ベケットとピートのギター…この二人の head arrange が「マッスル・ショールズ」を輝かせていたとワタシは信じるわけヨ。
しかしピートはスタジオ・オーナー四人衆よりも歳も若いし(童顔だし)、オレも加えて五人衆にしてくれろなどとは口にしない、奥ゆかしい性格であったのだ…と思う。そのギターがたいていジミー・ジョンソンと勘違いされていてもなんら気にしなかっただろう。
(まあそれが歯がゆくてワタシはこんなに入れ込みサイトをやってるんだが…)
ポール・サイモン[僕のコダクローム]、これをヘッドフォンつけて聴いてほしい。ここでピートはアコギのみ(右チャン、左はポール)。薄〜く聞こえるエレキがジミー。低いでしょ。しかしこれがあるとないでは大違い。マッスル暮らしは伊達じゃなく、ツボは心得たギタリストともいえる。