2010年11月19日

KOSHのBISH


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このビッシュ盤、コッシュにとって傑作な部類の一枚…というよりもコッシュらしさが全面に出た一枚というべきか。

「コッシュとは…“ムーヴィー”である」と、思っています。
コッシュにとって「Hollywood がもっともハリウッドらしかった頃の映画」こそがコッシュ・デザインの肝であり、幹であったと思う。(実際コッシュはその最高傑作をハリウッド映画のサントラ盤で実現している。それは後述)
ならばなぜダイレクトに映像仕事へ向かわなかったのかは知るよしもないが、“固定したイメージ”への想い、グラフィックワークとしての作品に懸ける気持ちは強く伝わってくる。

なぜ枠囲みしたか。
正方形という制約上やむを得なかった、横長にはできないがコッシュの中では枠をつけたのではなくて、あえて一回り小さい版面を設定した、それは“スクリーン”を意識したのでは。
ジャケットデザインとは音楽が醸す映像からワンシーンを切り取ること、スクリーンショットを作ることを肝に銘じて制作に勤しんでいたのだと思うのだが…どうでしょう。ある意味“非日常の、夢の世界の一コマ”を作り出していた…。
本人は「音楽という名の映画制作現場のスチールカメラマン」という意識であった、とワタシは思っているのです。そのジャケは Still Life 。

そういう目でみればこのビッシュ盤などまさに古き良きハリウッド映画まま。かつてのモノクロ映画のスチルの一枚と言っても疑う者がないような仕上がり。
顔を背けるヒロイン…不倫か悲恋モノか…、なんらかのストーリーを思わずにはいられない設定。
主人公(ビッシュ)に当たる光量の多さがヒロインに当たらないことからして、ふたりの立ち位置は不自然。たぶん一発撮り写真ではないだろう。後でエアブラシ処理というのもありえるが、女(ヒロイン)側の暗く深いシャドウはやはりライティングによるものだろう。なのでビッシュとは別撮りで、合成処理をしたのだと思う。もしかしたらバックも別撮りの三枚合成かもしれない。
裏はカラーで主人公横顔。若干下向きが表写真との関連を匂わせる。


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REO Speedwagon/Hi Infidelity ('80)

15週全米1位をキープした屈指のメガヒット盤。
(それにしてもコッシュのデザインした全米トップ10アルバムはいったい何枚あることか…。その数は、羨望を越えて唖然とさせられる)

これもコッシュ作品とウィキにあるが、ワタシは持ってませんので詳細はともかく…、まあストーリーを想像させる「スチルっぽい」一枚には違いない。
都会の夜に下着姿の女がルージュをひく…わりにはさほどエロチシズムを感じさせないのは男がまさにかけようとするレコードのプレイヤーと脇のライトスタンドがもろに 50's Style ゆえエロよりもノスタルジアな印象強し。コッシュ趣味。

蛇足:こう見ると、コッシュ、ルーパート・ホームズ(および Widescreen productions)のジャケをやってもハマったかもしれない。


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2010年11月18日

kosh/hipgnosis

そのアルバムのデザインにコッシュとヒプノシス、両雄の名が見えたアーティストにTレックスとエレクトリックライトオーケストラがいたと書いた。
が、このバンドもそうでした。先日来日公演を行ったとか…。

バッド・カンパニー、基本はヒプノシスだった。

74 Bad Company
75 Straight Shooter
76 Run with the Pack
77 Burnin' Sky
79 Desolation Angels
82 Rough Diamonds

zeppのレーベル、Swan Song からだったので親方ゼップがらみだろう、ヒプノシスが担当してデビュー。
このファーストこそがすべて、これ一枚で終わってよかったのになあ…は言い過ぎか。

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ヒプノシスにしては珍しい仕事、シンプルの極みな「文字モノ」ジャケ。
ただ文字バックはなにか柄なのだろうか? ツギハギのようにも、蛇皮のようにも見えるんだが…(ヒプノシスらしい「仕掛け」があるのかもしれない)。

ヒプノシスは1/2/5/6枚目、都合4作品のジャケットを担当した。
もっともヒプノシスらしいといえるのは79年盤。いまの目でみれば、photoshop 使って誰にでもできること。しかし合成のための元写真をきっちりロケハンして撮影、ポジをダイトラで紙焼きして削るところを削って重ね合わせて…発想の独創性とクオリティにおいて、アナログにここまでやっていた実力を見ても、やはりヒプノシス・ワークは頭抜けていたのだ。

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最後になった82年「Rough Diamonds」はスワンから離れてアトランティック移籍第一弾。
これもヒプノシスには珍しい仕上げ、レコード出し口がギザギザで表はダイア型のホールカット。内袋をそこから見せる…いわゆる変形ジャケ。
グラフィック一発勝負でそのインパクトこそヒプノシスの「妙」であったから変形という意識はほとんどなかったはず。



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コッシュはサード「Run with the Pack」のみデザイン。
Free から変わらないシンプル/リフ一発ロックだったバドカン、しかしフリーよりもアメリカナイズというべきかメジャーキーを多様してもくろみどおりに大当たり。この盤もプラチナだったな。
ジャケは…持ってないのでこれはネット拾いだけど、ring wear が目立つ。実際は鮮やかな銀紙ジャケで文字とセンターの狼イラストのみ。裏・内ジャケは分からないが、表はさして面白いジャケじゃない、コッシュらしさはかけらもなし。
親に群がる子狼のなかに「人の子」が…。「狼少年ケン」か?(このTVアニメは今でも思い出せる、大きく影響されたなあ)


+++++


それとハンブル・パイも。

ヒプノシスジャケは74年「thunderbox」。
これも珍しいとした変形ジャケ。“鍵穴”から覗くとヌードが…。「のぞき」というコンセプトはヒプノシスらしいところ。


「thunderbox」前の2作をコッシュがデザインしている。

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Smokin' ('72)
これは全米6位になった最大ヒット作。
能のない文字モノ、つまらない出来? いや、これはこれでコッシュらしさが…ほのかに匂う。

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続く73年盤もコッシュによる。これは13位までアップ、このころが最盛期だった。
やはりタイプロゴがメインだが、「レインボーコンサート」のジャケを思わせる文字埋め処理デザイン。


PS:ん?これもスワンソングだっけ?
デイヴ・エドモンズ「ひとりぼっちのスタジオ」はトッドの「サムシン/エニシン」と並ぶワンマン録音の傑作だったが、これがヒプノシスによるジャケとは意外なり。
posted by Denny_O at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月18日

Kosh_SD's FM


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front

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「FM」、2枚組サントラLP。これもコッシュ・デザイン盤。
78年。まあコッシュにとって Peak かもしれない。コッシュがもっともコッシュらしかった時。
フリードローイング文様がバック、ポロックの筆づかいのような…。そこに「FM」文字の銀箔押しが光る。
とにかく文字…書体がコッシュの「お約束」物。この時代の。
外よりも内側、内見開き両面のほうがコッシュらしくて良い。行間/級数を含めた文字の扱いが、平面構成が細部まで行き届いている仕事…プロのなかのプロ、それがコッシュ。

ウィキの「コッシュ項目」にはジャケ仕事としての記載がかなりあるが、ん〜?マジそうだっけ?と思わせる盤も少なくない。ストーンズの八角盤「スルーザパスト」、これもコッシュですかい? Tレックスの「タンクス」も…そうだったかなあ…。
コッシュ連載をアーカイヴとはしているがけしてパーフェクトは望まず。そこらのネット表記をまんま写すまねはしないように、極力実際に手にした盤を書くつもり。

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それでもこの盤、「steve miller band/living in the 20th century」は昔持っていたがコッシュとなっていた気がする。「らしさ」はほとんだない仕事だったが…いや、メインモチーフの馬上の騎士はデコだね、アールデコの彫像から取ったと思えるから「らしい」か。

そのSMバンドのみならず、このサントラ{FM}収録アーティストのうち、イーグルス/ダン・フォーゲルバーグ/ジミー・バフェット/ランディ・マイズナー/トム・ペティ/リンダ/JTのジャケをコッシュも手がけているところからして、この盤のジャケの適任者がコッシュであったことは理解できますな。タイトルチューン(というか映画題名が…)がスティーリーダンによる、そしてダン・ファミリーの中核たるゲイリー・カッツの名前もある(mastered by Gary Katz) が、SDジャケにはコッシュが関わらなかったのはちょいと意外。唯一の接点はこのサントラ。
ところでこの盤はグラミー授賞レコード。それは "best engineered album" とあるが、ならばカッツが受けたということだろうか。クレジットにエンジニアの名前はない。
それにしても既存有名曲ばかりでなんら真新しさのない、唯一の書き下ろしがSDのチューン(そうではなくて、もともとSDが "FM" という曲を作っていた、それにインスパイアされて映画製作になったという説もあり)のみ、カッツは全曲を本当にリマスタリングしたのか?(なにもせずにグラミーが取れていたりして)

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この映画を観たという人はおりましょうや? 凡作・駄作としか評価されていないようですが、まあ観ないことには何も言えませんナ。ところでジャケに意外な顔がある。出演者のひとりに「マーチン・マル」。俳優なのだから「意外」は変か…。コッシュはそのマル盤ジャケまで手がけているとウィキにはあるが、さて…。
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2010年08月24日

kosh_JT's FLAG '79

そんな、才能の塊だったJT…でも、クオリティをキープし続けるのは至難。この79年の Columbia 盤はかなりトホホなレコだった…。"day tripper" "up on the roof" のカバーすらまったく冴えない出来。

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これもピーター・アッシャーのプロデュース盤ゆえ、お約束に KOSH Design 。
大胆といってこれほど大胆なレコはまれ。タイトル/アーティストなどの文字一切無しは珍しくないことだが色数わずか「2」。三角ふたつ。
これで“通る”のがコッシュの実力/ネームバリュー。全盛時ゆえにレコ会社営業サイドも一切の口出し無用であったのだろうなあ。ああ羨ましいワ。

「フラッグ」がタイトルだけどこれは手旗信号か何か? 意味があるよな無いよな。
内ジャケの写真が配色といい、トリミングといい、時代だな…細部にこだわったコッシュらしさをあえておさえて大胆仕上げ、パンキッシュな時代への対応だろう。それでもインナー裏の歌詞面、その書体は長いこと使い続ける、コッシュ得意のアヴェニール・ファミリー。文字組の美しさは過去のコッシュデザインまま。文字の処理までパンクに成りきれないのがコッシュともいえる。

個人的にはインナー袋の写真をオモテに使えばよかったのにと思えてならない。ストロボがきつくかかっていて、この写真はモシュ・ブラッカを思わせる仕上がり。これにすればよかったのに…と言いたいが、ジャケのデザイン・コンセプトはJT自身とのクレジットか、JTとコッシュとで作ってこのデザインならばまあ誰も文句はいえまへんワなぁ。
posted by Denny_O at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月21日

kosh_Fairweather Low

クラプトンの、なんともフヌケたアコギバージョン{レイラ}(「アンプラグド」)でサイドギターを担当していたのはアンディ・フェアウェザ・ロー。ウェールズ州カーディフ出身は、デイヴ・エドマンズと先輩後輩関係。A面コーナーでのスポットライトが…デビューがいきなりピークだったのか、アンディ…。
その後の地道なソロは’通ウケ”はしたけれど…そんな Mr. Sweet Soulful Man 。
(ちなみに下にいれたジェリー・ラファティ【city to city】でもギターを弾いている。そうだ、WHO/Who are you? にもアンディの名前があったな。なかなか顔は広い?)


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"Andy Fairweather Low/Spider Jiving" (74 US/A&M)

この盤は74年、ソロの一発目。前作にあたるのが70年、フェアウェザー名義での唯一盤 [beginning from an end] だから4年ぶりのレコ。「ビギニング」のジャケは KEEF だったがファーストソロはわれらが KOSH デザイン。Kから始まる四文字デザイナーの続きですネ。

その前に内容ですが。プロデュースが Elliot Mazer …というだけでどういう立ち位置のレコか、当時のアンディの心境か知れるというもの。ま、世界で一番「ザ・バンド」が’偉かった”時代、英国勢はこぞって米国アーシーサウンドをもとめてフラフラしていたわけで。
アンディが頼ったのはナッシュビル・キャッツ。ニール・ヤング/エリアコード615のプロデューサーだったメイザーを起用。しかし米国一辺倒に成りきれないのがカーディフの血か、好サポートをみせているのがギタリスト、ヘンリー「真っ黒け」、リズム隊もクリッシー・スチュワート/ウィングズのデニー・シーウェル(ただしこの人は確か米国人)でのセッション。ケニー・バトリー/チャリー・マッコイ/バディ・スピッチャーらも当然参加だが録音はナッシュビル{クアドラフォニック}とフリスコ。マーク・ナフタリン/ジョン・カーンらフリスコ勢の参加に、南部からメンフィス・ホーンズ/マリー&ジンジャー・ホリデイのコーラス等々、ごちゃまぜ面子盤。女性SSWとしてアルバムを数枚残したダイアン・デヴィッドソンなんて名前も…。
いい面子でいい音を出してはいるけれど、曲がちょっと弱いかなあ…。

++++++

シングルジャケだがそこはコッシュ、両面型抜きのギミックジャケとした。
表、全面エアブラシの一枚イラストにネーム/タイトルを載せ。なぜ星かわからないが("spider jiving" て何?)、シェイドを活かしたキレイな仕上がり。写真が前後するが最後を見てもらおう、グリーンバックは双角を見てのとおりに“粗め”にブラシを吹いている。これは後述するが【hotel california】へと続くことになる。

表は大きく丸くカット、内袋の single label が見える仕様、これは後の12インチシングルを思わせるギミック。そして裏は、金貨/紙幣がマジックで出てきた…の図。
この裏ジャケのほうがコッシュらしい出来ばえ。このジャケのための撮影かそれとも過去の「あり物」流用かちょいと迷うが…まず昔ムービーのスチルだろうな。マジシャンの顔があまりにそれっぽいので。
コッシュのハリウッド趣味/映画趣味からして、コッシュ印の「枠囲み」でもあるし、こちらがメインであったと思うのだ。
これをジャケとして製作したけれどレコ会社からダメ出しくらって(アンディの音楽との関連が薄すぎるとワタシも思うが…)、仕方なく裏へ回したんじゃなかろうか。アンディの丸ワク写真がかなり唐突な印象…無理に入れさせられた?

やはりコッシュ・デザイン盤にELOがある、そちらへとっておけばよかったのに…この裏は。というか、同年のELO盤【エルドラド】のジャケと類似するねぇ、と思ったから調べたら、違った。この盤はコッシュではなかったワ、しかし実にコッシュlike なジャケ。
これは映画「オズの魔法使い」のスチルらしい。

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蛇足: おっと、今思い出した。Tレックスが、ヒプノシスとコッシュが交差した唯一バンドかもと書いたけれどこのELOもそうでしたワ。デビューだったかな、電球アップのジャケ、凡作だがあれはヒプノシスであったはず。
posted by Denny_O at 08:14| Comment(1) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月24日

kosh - donovan

koshが手がけたドノバン盤は3枚、ライヴ盤をはさむとはいえ全て73年に出している。

【cosmic wheels】
【live in Japan: spring tour 1973】
【essence to essence】

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手始めの【コズミック】が素晴らしい。ヒプノシス的「合成」ワークでドノバンワールドを見事に具現化。アストロロジックで、宇宙・太陽・雲、そこに浮遊感をプラスしてひとつのBOWLに入れ、きっちり練っている。練ったままを皿に盛るのが Yokoo忠則ならば、充分吟味したうえで盛るのがコッシュ、シンプルなcoloring がいい。
カンガルーポケット gatefold で(ドノバン手書き?)「塗り絵」の内面とレコ袋。60cmサークルのヌードポートレイト/歌詞シート付き。


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【ジャパン】。コズミックに続いて「座るドノバン」。このギターが前述した、トニー・ゼマイティス初期の逸品。
黒のなかに浮かび上がる、ピンスポを浴びるドノバンの姿がライブ感/ホール感を醸し出す。裏の「忍者ドノバン」もいい。これを、あえて表に使っても面白かったかもしれない。
コッシュとしては、来日に同伴していたわけではないだろうからポジを渡されてのレイアウト仕事かな、しかし丁寧な仕上がりがコッシュワーク。


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続いて座る。今度は「お辞儀」の【エッセンス】。
お辞儀の四コマカット。シンプルの極みは東洋的静謐感か wabi-sabi world だろうか。コッシュの代表作に数えられる傑作。冴えた手腕、大いなるデザイン力を感じる一枚。大胆美。
アイデア自体はドノバンだろう。元来の東洋趣味が来日を機に炸裂したのか…日本探訪直後らしいジャケ。

++++
【コズミック】は、遠藤賢司[ケンちゃんの宇宙旅行]のネタだな。が、エンケン(この言い方にはいまでも違和感あるが…)に低次元な「パクリ」などない(_敬愛するモビーの、[its a beautiful day, today]から[今日はとってもいい日みたい]が生まれたがそれもまったく別次元の歌であった)。完全消化だから[ふりそそぐ星]のような大名曲も生まれるのだ。アルバムジャケは cosmic chaos なYokoo先生デザインであったけれど。

遠藤賢司が細野と初めて会ったときにドノバンのLPを抱えていたとは知られたエピソード。ちなみにキースがミックに出会ったときにミックはマディ(ベリーか)のLPを持ってたんでしょ? 若人よ、外に出るときはアナログ盤を小脇に抱えて…書を捨て町に出よ。
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2010年03月23日

kosh_waldman

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【Wendy Waldman/Strange Company】('78 Warner)


Linda Ronstadt のジャケ、何枚続けてコッシュがデザインしただろう…というほどに多い。そして力が入った、彼の代表作はやはりリンダ一連仕事。
しかしリンダの盟友 Wendy Waldman 仕事はこの一枚だけ。

上からジャケ表/裏/インナー/その右隅のアップ。
ジェスロ・タルの代表盤をはじめとしてトム・ウェイツやエリック・バードン&ウォーやら…昔から多い「News Paper」ジャケ。ここでは national GOSSIP なる芸能新聞てなところでしょうか。シングルジャケで、インナーシートの表裏を含めて「4ページ仕立て」、表ジャケから page 1〜4とノンブル≠入れている。

ロスやマッスル録音をしてきたウェンディ、一流のセッションメンをバックに起用していたがこの盤では4人の固定、Wendy Band との録音。音楽界に "Punk激震”でアメリカの業界も否応なく変化させられた感あり(SSW時代は終焉した)。まあアメリカではパンクというよりもパワーポップだが…、この盤もそんな一枚。

++++++


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【Linda Ronstadt/Mad Love】('80 Warner)

そんな時代変化にリンダも否応なく¢ホ応。これもコッシュのデザインではあるがある種パンクっぽさが…。「微に入り細に入り」がコッシュの真骨頂なのにかなり「ラフっぽく」仕上げている。
リンダにしろコッシュにしろどこか無理があったはず。リンダは早々にスタンダード/ノスタルジア路線へ変更する。もちろんそこではコッシュが我が意を得たり=A抜群のジャケを作っていくこととなった。

この盤ではリンダ(プロデュースのアッシャーだが)もウェンディ同様に過去のプレイヤーとは一線を画す若手をバックに起用。そのコアとなったのが Wendy Band から流れた Mark Goldenberg 。




ちょっと無理してパンキッシュに歌うリンダ…。コーラスがウェンディ・ウォルドマン。ドラムこそラス・カンケルだが他は Wendy Band のメンバーじゃないかな。
posted by Denny_O at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月12日

kosh/ジャケはUS制作?

Great KOSH の五指に入る傑作ジャケット【family/bandstand】'72 をやっと買えた。米 United Artists 盤ではあるけれど。
変形を見てもらうのはやはり映像のほうが…で、UTを利用してみた。いや、喋るのは思いの外難しいネ。
前にも書き入れている盤だが、満足度120%…実に素晴らしい、アナログレコードとして特筆に値する名ジャケットと実感。




右隅の「コーナーカット」が惜しい、アメリカ盤ゆえ…。
しかしこの盤をじっくり見ていて思ったことがある。何度も「英国バンドはUK本国盤をチェックすべし」と書いてきたが…変形に関しては違うかも知れない、と。

このファミリー盤は米国制作ジャケットが本国盤≠カゃないのかという事。英国盤も盤自体はUK制作でもジャケットはUS制作して輸入し代用していたのではないだろうか。
UKのジャケ制作現場にこのように手の混んだ変形ジャケットを制作するノウハウが、まったく無かったとは言わないが乏しかった…ので、変形はアメリカに制作を委ねていたんじゃないかと思えてきた。
この盤に小さく "UNIPAK U. S. Patent No. 3,426,960 " 表記がある。

ロッドの、これもオリジナルは素晴らしい変形ジャケット盤、【never a dull moment】と【every picture tells a story】には共通して以下の表記、
"packaging- Album Graphic Inc., Chicago, Patent No. 3,556,391"
それとこれも傑作変形のフェイセス【ooh la la】、パテント表記こそないが album design by Jim Ladwig, AGI とあり、インサートで特大歌詞シートが。

すべてUS盤での話だが、UK本国盤のこの箇所表記が英国会社へと変わっているとはちょっと思えない。
AGIはロスへ渡ったコッシュもかなり関係していたアメリカ最大の音楽関連デザイン会社。ロッド/フェイセスはじめUK勢もかなり早い時期から「ゴージャスな変形ジャケならやっぱりアメリカだよな」…となっていたんじゃないだろうか。
やはりコッシュデザインの【donovan/cosmic wheels】あたりも同様、USジャケ制作盤と感じる。
posted by Denny_O at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月07日

マッスル3枚

そうでした、Muscle Shoals Rhythm Section の David Hood とMacon Rhythm Section の Scott Boyer は現在一緒にバンドを、 The Decoys をやっていて昨年に Donnie Fritts のバックとして来日していたんだヨナ。まったく不義理と申しましょうか、行かなかった…。カウボーイ曲を演ったのだろうか。いやネ、そのデコイズの myspace では新録の[all my friends]を聴けるンだが…やっぱりワタシのなかでは、違う。
その来日で、友人は「よかった。誰やら知らぬギターのおやじがめっちゃよかったワ」とも。はてそれは誰かいナと思って今更来日フライヤーをネットで見てみた。
Kelvin Holly(the Amazing Rhythm Aces) とある。

ARAにケルヴィンなんていたっけ? ワタシの記憶のギタリストと違うナ…とはいえARAは何枚アルバムだしているのか、2枚しか聴いてないヨ、わたしゃ。フライヤーには Scott Boyer(ex-Cowboy) とある。ならばカウボーイは過去のバンドでARAは現在も活動中?

1枚はまだ持っていたよなァと棚を漁って見つけたこの盤、見返せばマッスル関連盤であったので再チェック。それと、ARAのコアであったラッセル・スミス盤はピート参加ゆえリストアップしていたが、ごく最近やっと見つけたのでこれも入れましょう。それと、もう一枚のマッスル盤、まったく無印であった盤もゲットしたので都合3枚を…。


amazingRhytym.jpg

 #140
【The Amazing Rhythm Aces】
( '79 ABC)
< ー : ★★>
produced by Jimmy Johnson

ジミー・ジョンソン・プロデュースのマッスル録音。メンフィス・ベースのバンドだったかな。この盤では6人編成、バンドなのでマッスル勢は演奏には基本ノータッチ。special thanks にフッド/ホーキンスの名はあるがマッスル色はほぼ無し。
カントリー風味の聴きやすい盤は、ある意味イージーリスニング。あっさり流せる感もあり…。アル・グリーン曲を歌っても「白い」。ジョーン・バエズ/トレイシー・ネルソンがコーラス参加。

個人的に惹かれたのはギター。Duncan Cameron 、エイモスばりの複弦弾きはなかなかの旨味。



russellsmith.jpg

 #141
【Russell Smith】
( '82 MSS/Capitol)
< B : ★★>
produced by Barry Beckett & Jimmy Johnson

アメイジング・リズム・エイシスの中心であったラッセル・スミスのソロ盤。過去デルバート・マクリントン/レボン・ヘルム/フランキー・ミラーなどがあったマッスル・ショールズ・サウンド・レコード(キャピトルのdistribute)盤、これもその一枚。
ARA盤同様にカントリー色漂うアッサリ盤であるナ。ごくごく普通のポップスLP。
キーボードでベケット/ギターにピート・カー参加。しかしリズム隊は Larrie Londin / Joe Osborne 。ナッシュヴィル一(いち)の売れっ子ドラマー、ロンディンやロスのオズボーンがマッスルへ…全曲マッスル録音盤。

3曲でピートが弾く(1曲はドブロ)。82年のピートらしいダブルトラック(ひとりツインリード)は悪くない…が、全盛期とはかなり違う音色/タッチ。

ジャケ写、なぜかノーマン・シーフ。この人もけっこう細かい仕事をこなしてましたなァ。



NicholasLampe.jpg

 #142
【Nicholas Lampe/it happend long ago】( '70 Cotillion)
< ー : ★>
produced by Ahmet Ertegun / Jackson Howe

recorded at Muscle Shoals Sound Studio Alabama
engineer: Marlin Greene,   strings by Arif Mardin

guitar: Nicholas Lampe / Jimmy Johnson / Eddie Hinton
drums: Roger Hawkins,    kbd: Barry Beckett
bass: David Hood

全曲オリジナルのSSW盤。不慮の事故死が惜しまれるアトランティックのボス、アーティガンがわざわざプロデュースを買って出た盤…こんなマッスル盤があることを知らなかった。アトランティック傘下、コティリオンから。

バックメンバーもきっちり四人衆とヒントン、エンジニアはマーリン・グリーンと申し分のないマッスル録音レコードはボズ盤と同時期だろう、マッスルとしては最初期盤となる。(ピートはまだメイコンにいた時期)

しかし…聴いてがっかり、なにも惹かれるモノがなかった。曲だめ、声だめ、演奏もさっぱり…。
裏ジャケに "listen twice" "Jesus Christ" とアルバムタイトルのように大きく文字を入れている。それとクレジットに spiritual advisors なんてのがある( Dion / Kenny Rankin の名前が4人のうちのふたりとしてある不思議)。
そこで思い出した。マーリン/ジーニー・グリーン盤がやはりマッスル盤であったが「キリスト」色が非常に濃い盤であったこと。このニコラス某もお仲間と見た、コア・クリスチャン・サークルのレコード。

++++

3枚を聴いてつくづく感じたのは、マッスルは…「早すぎてもだめ遅すぎてもだめ」。70年は早すぎる、82年では遅すぎる。旬≠ェことのほか短かったということ。
posted by Denny_O at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | Muscle Shoals | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月17日

これもコッシュ・ワーク


kosh_2LP.jpg
king crimson/red ('74)
eric clapton's rainbow concert ('73)

正直どちらも面白味のない、コッシュらしからぬジャケ…。
ただしこれらは拾い画像、もしや実際のレコならば裏なり内面なりに「らしい冴え」が見られるのかもしれない。
それでも、これだけの大物仕事のオファーがあるコッシュとは…。
posted by Denny_O at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | kosh | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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